私は2005年のショパンコンクールで彗星のごとくでてきた
山本貴志がすごく好きです。
2000年のショパンコンは現地ポーランドにいたので、
かなりコンクールを見まくりました。
すっかりショパンコンクールにハマっていた私は
2005年のショパンコンが始まるなり、最初の予選で、
ほんの一瞬チラッと山本君の演奏が出てきたその瞬間に、
「こ れ は !」 という衝撃を受けました。
山本貴志さんは2005年ごろワルシャワ音楽院に通っていたのですが、
私がワルシャワ音楽院にいたのは1999年なので、全然面識はありません。残念なことに!
山本君(勝手に山本君と呼ばせていただいています)が、
あの音色をどうやって出しているかという研究をしばらくブログで書いていた時期がありました。
あれは力が入ってるからこそでる、こもった音なのです。こもった美しい音なのです。
身体に力がある程度入ってないと出ない音です。
今までのピアニストは脱力して、抜けた輝いた音というのを出すことを目標にしてることが多かった。
そしてそれは、有無を言わさず、私たちピアノ学習者は強制されるがごとく
脱力法をたたきこまれ、輝いた抜けた音を引かされることを強要されてきました。
しかし、そこで彗星のごとく現れた山本貴志君は、それを真っ向から否定する、
「こもった音こそが美しい!」という
目からうろこの、まったく観点の違う、奏法でした。
私が彼が新宿カルチャーセンターでトーク&演奏という企画の講座に参加したときに、
私はさらにびっくりしたことに、
彼はソフトペダルを踏みっぱなしだったのです。
「ありえない」
というのが今までの常識だったと思います。
ですが、私はそこで繰り出される音に、いたたまれなくなり、涙しました。
一人、ごうごうと泣いていました。
うつくしい!
ただ、それだけでした。
ああ、山本君。 愛してます。 笑