つまり、この世は、
なにかとてつもない神秘に満ちた世界が、
ちらりちらりと、見える仕組みになっている。
それは、この世の食べるとか寝るとかではすまされない、
肉体を超え、意識や知覚を超えたものが、
チラ見できる仕組みになっているのだ。
それは、昔の人が、ほとんど肌の露出がない着物を着た女性の
ちらりとみえる手首やうなじに、
心奪われてしまうようなものに良く似ている。
または、幼少期の体験で、
確かに体験したのにもかかわらず、意識に上がってくることのない体験が、
潜在意識の中で鮮明に輝いていて、
何かそこにあるけれども意識化できないがゆえに、
強烈に人生が振り回されてしまうのにも良く似ている。
サブリミナル効果だ。
瞬間的に見え、そして隠れるがゆえに、
どうしてもそれが欲しいと思う。
私たちはエクスタシーを感じるたびに、または夜眠るたびに、
そのこの世を超えた世界、、あの世を潜在意識の中で垣間見るのだ。
そうして、そこに強烈な憧れをいだく。
これは、死にたいとか言うのとは全く違う。
この世から逃げ出したいのとも違う。
現実逃避とは全く違う。
生きながらにして、あの世を体験するのは、
むしろ圧倒的な生への希求である。
その潜在意識の中での希求がこの世界を支配している。